DVD販売中止から早数年、ようやく納得できる完全版が出た。
悪魔のいけにえ(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AB%E3%81%88
オリジナルは10回ほど観賞して5回ほど夢に出たのだが、今回も例に漏れずレザーフェイスに追いかけられる夢を見た。それぐらい怖い。テキサスのうっとうしい猛暑の描写が苛立ちをいやがにも高め、登場人物たちの能天気な行動にさらに苛立たされ、妄想性分裂症ヒッチハイカーの異常ぶりに吐き気を催す。もうこのあたりからこの映画が持つ異常な臭気に取り込まれるかんじ。
上映開始40分後以降はもう恐怖のオンパレードで、カークが一打で撲殺されるシーンからパムが肉鉤針に吊られるシーン、車椅子フランクリンが切り刻まれるシーンとたたみかけ。ひたすら追われ続けるサリーの悲鳴と不協和音のような音楽に脳味噌かきまわされる感じ。(実は残酷シーンはそれほどないのにインパクトが凄いのでいつまでたっても余韻が残る)パムが一度戸外に出てまたじたばたと連れ戻されるシーンとか、なんというかひどいのに名場面。
狂人変態一家の晩餐会シーンはなんというかヒロインには悪いが半笑いの半恐怖で役者も製作者も楽しんでる感じでいいなあこれ。血を吸うと生き返るじい様がお茶目。
で、またも追われるヒロインと追うレザーフェイスの距離感がさらに恐怖感を煽る。有名な夕日のチェーンソーダンスシーンはこの異常映画を象徴する完成度。人類最悪の作品の一つとしてMoMAに収蔵されるのもうなづける。トビー・フーパーはこの一作で殿堂入りしたわけだが、こんな作品これ一つでおなかいっぱいですよ。
この作品の怖さは実話をベースにしたことと荒っぽい画像でドキュメンタリーチックにした効果が大きいと思われるが、なんといってもレザーフェイスのキャラ立ちっぷりに尽きる。ジェリーを撲殺した後に考え込むシーンとか、脳をえぐられるいやあな感じがまたたまらない。それでいて妙に親孝行で小心者だったりする。レザーフェイス可愛いよレザーフェイス。
ボーナスディスク1はメイキングほか、ガンナー・ハンセン(レザーフェイス役)による悪魔の家ツアーなど。ハンセン氏の本業は物書きだそうだが、素顔は柔和でユーモアあふれる紳士のよう。
ボーナスディスク2は東京12チャンネルで放映時の日本語吹き替え版を収録。一部字幕スーパーになっており、当時はあの場面はああいう事情であれはあれかとか邪推するとより楽しめるかも。しかし初回上映当時(1974年)の予告編は70年代クオリティ満載で怖いですよ。
ともあれ夏の暑い夜に冷房なしでいらいらしながら観賞することを勧めたい。
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