初日を鑑賞。以下かつてから現在に至る現役大友オタとしての感想を。
蒸気と空を飛ぶ城、それが動いて崩れるだけのさまを見せ続けるのにこれだけたっぷりの時間を費やしたことにまず敬意を表したい。大友さん、本当に構造物を崩壊させるのが好きなんだなと心底実感した。蒸気と崩壊でおなかいっぱいだし、1800円は蒸気と崩壊で元がとれる。「大砲の街」は蒸気描写の予行演習だったことがわかる。
脚本はいろいろ言われているようにアラありまくりで完成度はいまひとつ。特に中だるみが目立ってしまってテンポのいい序盤と終盤がもったいなくなっている。万国博準備のくだりは適当にはしょっちゃって、もうクライマックスにいってもよかったのでは。
クライマックスの後半が長くてだれるという意見もあるが、それ自身を延々と見せるのが目的なことは重々承知だしそれを全身で味わうのが製作者への礼儀だと思うのでそれこそ全身で堪能してだれる暇はなかった。蒸気と崩壊だけでよくぞここまで魅了してくれたという感じ。
キャラクターの行動がいまひとつ不可解なこと(エドワード博士は撃たれてどっかいっちゃうし、突然戻ってくるし。ロイド博士はしろと運命をともにするとかいってともにしてないし。アルフレッドがレイを手づかみマシーンで襲う必然性ってあまりないよなあ)が多かったものの、レイの科学に対する好奇心はいまひとつ踏み込み不足。スカーレットの拝金主義ぶりは見たまんま善人が跋扈するよりは心地よい。もっともエマのほうが美人でキャラ立ってたので、ヒロインはエマがよかったですよ。脚本の初期段階ではそうなっていたらしいが。滑舌が悪いと評判のロイド博士だが、老人キャラの滑舌なんてあんなものだろ。むしろあの頑固っぷりがいい味出してた。
全体的には大友的オリジナリティは少ないものの、子供向けエンタテインメントとしては上出来で個人的にもかなり満足。準備期間が長すぎたが、よく練られた良作に仕上がっている。続編も製作決定だそうなので、今度はあまり長い準備期間でなく新しい作品を見せてほしい。
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