1962年製作の隕石名作がDVDで出てるので購入。
初放映はテレビで見たはず(上映時は生まれてないので当たり前か)。OPで赤くて巨大な星が画面を横切るという印象的な記憶はDVDにより覆される。どこで間違えたか定かでないが、まあいいや。
で本編。もはや40年以上前の作品なのでネタバレでも怒られはしないだろうから書くが、巨大隕石の接近を地球の軌道を変えて避けるという発想。超カコイイ。もう最初から最後まで脳汁出まくり。まさにセンスオブワンダー。偉大なる不可抗力に栄光あれ。まさに妖星。
アメリカ映画(ディープインパクトとかアルマゲドンとか)だと隕石をいかにアメリカ製超強力兵器で殲滅するかという展開になってしまいがちで実際そのとおりになっていたのがこの映画の場合は大同団結で地球が避けるという超展開。国民性が出るのか、異形の巨大なるものへの畏怖がこういう脚本を書かせるのかもしれない。にしてもすごいよ木村武脚本。
世界団結して科学の粋を南極に集め巨大ジェット噴射機を建設するパワー。高度成長期の熱気を画面から感じさせる。円谷パートのミニチュアアートと実写パートの見事な融合。CGなくてもこれだけ完成度高く見ごたえのある画面作りにできたのは製作当時の潤沢な予算があってこその成果ではあったらしいが、それでも現代での観賞に耐えるのはすばらしい。
池部良や上原謙、平田昭彦など豪華東宝俳優陣、白川由美や水野久美のたおやかな日本語、滑舌のよいセリフ回し(最近の日本映画が見るに耐えないのはこれが原因のひとつだろう)や気の利いた脚本、唐突な挿入歌「おいら宇宙のパイロット」、さらに唐突な怪獣マグマ(お子様サービスでむりやり出したらしい)、後のウルトラマンやウルトラQに再利用される特撮アイテムの数々はファン垂涎の映像。
ラストの能天気ぶりも当時の世相を反映してか妙に小気味よい。こういう日本映画はもう作れないのだろうな。
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