元Googleが立ち上げたベンチャー企業とそのサービスが注目を浴びてるときいて。
公式
http://www.freee.co.jp/
簿記を知らなくても使える会計ソフト「freee」、グーグル卒業生が開発
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130319_592359.html
クラウド会計は現在主流の個人/法人向け会計パッケージソフトの帰着点と予想されつつ、一部の機能を先取りしている印象。法人用と個人用があるので今回は法人用にトライしてみましたもぐもぐ。小規模の普通法人複数社を毎月次で締めて入出力件数もそれなりにこなしている立場からの意見として。
○口座やカードの入出金明細自動同期は本サービスの売りだけあって、高い精度で科目判定してくれるのは楽ちん。
△一度取り込んだ入出金明細データを削除する方法が見つからない(削除済みステータスにはなる)
△一部の銀行を除いて、自動同期ができないのがネック。CSVアップロード対応みたいだけど、法人IBでCSVが吐けない場合はどうすれば?
○1:1仕訳は問題なく入力できる。
○入力ショートカットはローマ字または勘定科目番号で行うスタンダード仕様。どちらでもOK
△1:n仕訳やn:1仕訳の入力は登録済み仕訳を編集しなければならない。少し不便。
△振替伝票の仕訳はG/L等には反映されるがレポートには取り込まれないという割り切った仕様。基本は現金か振込か未払計上を想定している模様。
出力系
○仕訳入力をもとに収入・支出・売掛・買掛などのレポートを出力。最低限必要な帳票を網羅。
○仕訳帳や総勘定元帳は定型帳票。CSVへの出力も可能。
△B/SやP/Lの月次推移も定型帳票だけど細かいカスタマイズは不要だろうから割り切って設計してる印象。
○固定資産台帳、決算書(報告式)はカスタマイズ不可だけどこれで十分。
○消費税は申告書までは作らず必要データの自動集計まで。これも割り切ってる。
○ホーム画面で収支サマリーを常に見ることができるけど、見やすくて便利。
その他
どうしても業界標準のパッケージソフト(弥生とか)と操作感を比較してしまうのだけど、勘定科目補完エンジン以外は弥生の操作感にまだ及ばないという印象。弥生のデータ保存先がクラウドになって科目補完が進化するとたぶん勝ち目がないと思うので追いつかれないうちにどうするかが課題。
たぶんターゲットは自分自身で入力する事業主なのだろうけど、中長期では会計事務所の入力業務を取り込めるかどうか。会計事務所の入力担当や中小事業所のおばちゃん(ソフト操作には熟達。知識レベルはさまざま)は本サービスの当面の敵だけど、いずれはこれらの層も取り込んでいけないと裾野を広げるのは厳しそう。この層はとにかく保守的で新しい環境に移るのを好まないという特徴があるのでハードルは高いのだけど、それともはなから相手にしてないか。
まあこのあたりの壁や制約はさんざん検討したうえでのサービスローンチだろうから、技術面でもサービス面でも少しずつ改善が進むことを期待してしまう。全体的には非常に筋がよいです。
あと、記帳代行系の入力サービスはこれが出ることでほぼ壊滅または縮小均衡になると思われるのでそちら系の人材は今から次の食い扶持を考えましょう。はい私も考えます。
まとめ
- 操作感はいろいろ工夫がされていて入力の軽減が図られている
- 入力は入出金の取込に一部制約あり。収入支出の入力での科目名補完が完成度高い
- 出力は決算書一式までは問題なく作成
- いろいろ課題が多いけど時間が解決してくれる予感
非常に高い完成度だけどどうしても弥生の影が背中に見えるので逃げ切りexitを目指してるのかなと想像をかきたてるよいサービスでしたよもぐもぐ。
個人用については気が向いたら別のエントリにて。
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